【35】山口のやきもの情報

update:2024/08/13

 
山口 〜朝鮮陶工が来日し、花開いた「萩焼」

INDEX
① 松本萩の里めぐり 〜萩市
② 深川萩の里めぐり 〜長門市
③ 近現代の山口萩さがし 〜山口市
④ 岩国城下のやきもの探し 〜岩国市


 




① 松本萩の里めぐり 〜萩市


萩焼の祖が開窯した地で、江戸初期から続く窯元も!
萩の藩主の命により、城下の松本村(現在の萩市椿東)に開窯したのが萩焼のはじまり。坂家を筆頭に、現在では数多くの窯元が城下町に集まっている。

「椿東(東萩駅)」界隈

〜萩焼の陶祖・李勺光が萩に移住して窯を開いた地で、伝統の萩焼をめぐろう〜

坂高麗左衛門窯
【窯元・工房】約400年の歴史ある、萩焼宗家
江戸時代はじめに萩城下松本村に開窯した萩焼の宗家。藩主より高麗左衛門の名を賜り、当主は歴代坂高麗左衛門を名乗る。2022年に14世が襲名。
※ギャラリー併設・工房見学可(要予約)
萩市椿東中の倉1922 →HPにジャンプ
 
不走庵 三輪窯
【窯元・工房】萩藩御用窯の一つで、三輪休雪の窯
江戸初期に開窯、当主は三輪休雪を襲名。「休雪白」で知られ、10代と11代は人間国宝、現在は13代目。兄で12代休雪とともに、作家活動も有名。
※ギャラリー併設(要予約)
萩市椿東2721 →HPにジャンプ
 
泉流山
【窯元・工房】江戸後期創業、吉賀大眉を輩出した窯
江戸後期に開窯。昭和中期の当主で名高い陶芸家の吉賀大眉の窯として知られる。敷地内には記念館があり、大眉作品他、古陶磁資料など萩焼美術館となっている。
※ギャラリー併設 ※陶芸体験可(要予約)
萩市椿東10426-1 →HPにジャンプ
 
陶房大桂庵 樋口窯
【窯元・工房】萩焼伝統工芸士の樋口大桂の窯
1991年開窯、陶芸家で萩焼の伝統工芸士である樋口大桂の窯元。伝統を継承しつつ、独自の「鬼白」を発表するなど、作品は人気が高い。
※ギャラリー併設 ※陶芸体験可(要予約)
萩市椿東椎原1505-1 →HPにジャンプ
 
萩焼会館
【やきもの複合施設】窯元直売の萩焼ギャラリーや陶芸体験も
会館内の工房と萩城窯が制作した萩焼を展示・販売。陶芸体験教室の他、名産品コーナーや食事ができるところもあり、充実。
萩市椿東3155 →HPにジャンプ
 
天寵山窯
【窯元・工房】人気陶芸家で8代目の兼田昌尚の窯元
文化13年(1816)頃開窯、現当主は8代目、国際的にも活躍している兼田昌尚。登窯で焼成し、力強い稜線を持つ、独特の萩焼に定評がある。
※ギャラリー併設(要予約)
萩市椿東4867-1 →HPにジャンプ
 
萩焼窯元 岡田窯
【窯元・工房】山口県指定無形文化材・岡田裕の窯
200年以上の歴史があり、現在は8代目、山口県指定無形文化財の岡田裕。作家として全国的にも有名。また息子の岡田泰も作家活動で知られる。
※ギャラリー併設
萩市椿東4885 →Instaにジャンプ
 
萩焼古窯跡群 *山口県指定史跡
【名所・史跡】江戸初期から稼働した、萩焼の源流
17~19世紀後半(江戸初期~明治時代)の登窯4基が確認されている。萩焼の源流および発展過程を知ることがでいる重要な窯跡。
萩市椿東 →紹介Pにジャンプ
 

 

「萩三角州」界隈

〜萩城とその城下町があり、江戸時代の風情が残るエリアで、歴史文化散策〜

三輪清雅堂
【ショップ・ギャラリー】昭和初期創業、鑑賞型萩焼茶碗専門店
萩の老舗お茶わんやであり、現在は4代目。人間国宝を輩出した、歴代の三輪休雪や坂家など萩焼の名手の茶わんを取り扱う。個人の萩焼窯元ツアーも(要予約)。
萩市吉田町3 →HPにジャンプ
 
萩焼資料館
【美術館・博物館】江戸時代の毛利藩御用窯の古萩を展示
初期の小萩や松本萩・深川萩の初期作品などが展示されており、萩焼の歴史を時代を追って観覧できる。特に初代の坂高麗左衛門が見られるのは貴重。
萩市堀内502-6 萩城跡入口 前 →HPにジャンプ
 
波多野指月窯
【窯元・工房】山口県無形文化財の波多野善蔵の窯元
人気の萩焼作家の一人で、山口県無形文化財に指定されている波多野善蔵の窯。「緋色」シリーズで知られる。息子である波多野英生と二人で窯を運営している。
※ギャラリー併設 ※登窯見学可(要予約)
萩市堀内247 →HPにジャンプ
 
山口県立萩美術館・浦上記念館
【美術館・博物館】中国や朝鮮の古陶磁に、三輪壽雪の鬼萩も
萩市出身の実業家・浦上敏朗氏の寄贈されたコレクションをもとに開館。浮世絵版画と東洋陶磁器・現代陶芸専門の美術館。
萩市平安古586-1 →HPにジャンプ
 
♡萩焼まつり
【陶器祭・イベント】萩の町全体がお祭り会場で見所満載
窯元が集中する萩市全体がお祭り会場となり、街の散策をしながら様々な萩焼を探したり、イベントを楽しんだりすることができる。
■例年5月
■萩市民館・各窯元
→紹介Pにジャンプ
 
萩城城下町
[やきもの以外もオススメ!]萩城の城下町散策しつつ、萩焼探しも
武家屋敷の黒板塀の通りや、豪商などが軒を連ねる白壁・なまこ壁の道に、幕末の志士の生家など、散策にぴったり。萩焼など土産物店やカフェも。
萩市南古萩町付近 →紹介Pにジャンプ
 

 

「椿(萩駅)」界隈

〜伝統の椿東から少し離れ、比較的新しく開窯した現代的な萩焼窯元が多い〜

緑栄窯
【窯元・工房】ギャラリーや陶芸体験もある現代的な窯元
昭和49年(1974)開窯、現在の当主・松野創平は2代目。伝統的な萩焼もあるが、赤や紫・黒など、モダンで、使いやすさを追求した新しい萩焼が人気。
※ギャラリー併設 ※陶芸体験可(要予約)
萩市椿2153-4 →HPにジャンプ
 
野坂江月窯
【窯元・工房】山口県無形文化財の野坂康起の窯元
山口県無形文化財の野坂康起とその息子・和左が運営する窯元。いずれも作家活動で知られており、全国的な人気がある。
※ギャラリー併設
萩市山田4319
 
須佐唐津焼古窯跡 *山口県指定史跡
【名所・史跡】萩市のはずれ、萩焼とは別系統の窯跡
開窯時期は不明だが、大正末期まで稼働していた。同時期の萩焼とは別系統の須佐唐津焼で、朝鮮系の陶工が始めたと考えられ、登窯3基が確認。
※覆屋を掛け、保存・公開
萩市(犬鳴山北麓)
 


 
 

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② 深川萩の里めぐり 〜長門市


もう一つの萩焼の里で、萩市と同様、伝統の窯が集まる!
松本萩の陶祖の兄が分派し、深川村三之瀬(現在の長門市)に開窯したのが深川萩。こちらも坂家と同様、伝統ある窯元があり、また長門湯本温泉が近いのも魅力。

坂倉新兵衛窯
【窯元・工房】萩焼を代表する窯元の一つ、当主も有名
三之瀬に窯をかまえて350年以上、深川萩の伝統を守る窯。代々当主は坂倉新兵衛を名乗り、2024年に16代目が襲名。12代目は「萩焼中興の祖」と呼ばれた。
※要問い合わせ
長門市深川湯本1487
 
田原陶兵衛工房
【窯元・工房】作家活動も有名な、伝統の窯元の一つ
深川に分派した際に共に移住に、開窯。幕末に田原姓を名乗り、陶兵衛を称する。当代の13代田原陶兵衛は、作家としての活動も有名。
※ギャラリー併設 ※陶芸体験・登窯見学可(要予約)
長門市深川湯本1403 →HPにジャンプ
 
新庄助右衛門窯
【窯元・工房】作家活動が有名な新庄貞嗣の窯
当主の新庄貞嗣は14代目で、山口県指定無形文化財に認定されている。作家活動が有名だが、深川萩開窯時の窯の一つであり、伝統がある。
※要問い合わせ
長門市深川湯本1480
 
坂倉善右衛門窯
【窯元・工房】伝統の窯元ながら、独自色豊かな作風
江戸時代から続く窯元の一つだったが、一時期廃業。2000年に再興し、当主は十代善右衛門を襲名。造形作品なども手がけ、オリジナル色が強いのが特徴。
※ギャラリー併設
長門市深川湯本1421 →HPにジャンプ
 
萩焼深川古窯跡群
【名所・史跡】深川に開窯した江戸時代の窯跡遺構
深川三ノ瀬に移転・開窯した際の本窯跡。連坊式連房式登窯で、開窯当初から共同使用されていた。江戸中期には本窯のほかに東ノ新窯、西ノ窯も開窯。
※覆屋を掛け、保存・公開
長門市深川湯本字三ノ瀬、東三ノ瀬、西三ノ瀬
 


 

 

 
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 陶芸専門誌による萩の徹底特集!
 萩の人間国宝をはじめ、近現代の巨匠から現在の人気作家まで
 

 
 

③ 近現代の山口萩さがし 〜山口市


伝統を継承しつつ、新しく開かれたやきものの地!
明治維新を機に御用窯はなくなった後、吉城郡宮野村(現・山口市宮野上)に松本萩より移転・開窯。現在まで継承され、山口萩と呼ばれる。

大和春信松緑窯
【窯元・工房】山口萩の最初の窯元で、登窯を継承
大和松緑が明治25年(1892)開窯、100年以上になる登窯も現在まで継承されている。現当主は4代目の大和稔。ギャラリーがあり、陶芸教室も受付。
※ギャラリー併設 ※陶芸体験可(要予約)
山口市宮野上3630 →HPにジャンプ
 
大和保男窯 ー 山口萩焼Yamato’s Gallery
【窯元・工房】山口県無形文化財の大和保男の窯
山口萩を開窯した大和松緑の孫で、山口県無形文化財の大和保男が開窯。作家活動でも知られている。ショップでの買い物の他、登窯見学や体験教室も可能。
※ギャラリー併設 ※陶芸体験・登窯見学可(要予約)
山口市宮野上2419-2 →HPにジャンプ
 
陶陶窯跡 *国指定史跡
【名所・史跡】深川に開窯した江戸時代の窯跡遺構
6世紀頃に稼働したと考えられている窯跡。陶(すえ)の地名が示すとおり、古くから窯業が盛んな土地であり、特にこの窯跡は、古代の遺構が残存していて貴重。
※覆屋を掛け、保存・公開
山口市陶967
 


 

 

 
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 萩の城下町を古地図片手に散策!
 武家屋敷や幕末の志士ゆかりの地など、歴史ファンにはたまらない
 

 
 

④ 岩国城下のやきもの探し 〜岩国市


献上品が作られた「幻」の岩国焼(多田焼)の現在へ!
藩の御用窯として開窯し、短期間で途絶えた幻のやきもが現在に復興。岩国焼・多田焼として、往時を彷彿とさせる青磁を制作する窯元へ。

多田焼 雲渓山窯
【窯元・工房】昭和48年開窯、幻の多田焼を再興した窯元
初代の田村雲渓が古文書などを元に、多田焼を再興。現在は2代目。端正なフォルムと貫入が特徴的な青磁作品の茶陶が代表的。
※ギャラリー併設 ※陶芸体験・茶道経験可(要予約)
岩国市美川町小川395-1 →HPにジャンプ
 
岩國焼窯元 吉香窯
【窯元・工房】古岩國焼の伝統と新しさを追求する窯元
昭和48年(1973)、初代の山田象陶が開窯。現在は2代目の山田哲生で、日展などでも活躍。古岩國焼の伝統を引き継ぎつつ新しい釉薬を開発。
※ギャラリー併設 
工房:岩国市阿品260−1 ぎゃらりー吉香窯:岩国市今津4-3-6
→HPにジャンプ
 

 


 
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