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やきものアレコレ BLOG

「やきもの」に関する一般論を、個人的な視点と解釈を元に書くエッセイです。

2015年1月16日更新

  はじまりの「土器」 その1

 土器が好きです。もともと歴史好きということもあるのですが、なんだかワクワク・ドキドキしてくるのです。

 ということで、やきものをアレコレ書くなら、やはり最初は土器の話から始めたいです。考古学や民俗学を考えたいからではなく、やきものの原点、そして何よりも「土器」が好きという日本人は多いのではないでしょうか。
火焔土器なんて、深く考えるまでもなく、ワクワクしたり、うなったりしてしまう造形力ではありませんか?

 では「土器」とは、今の私たちの日常で使う食器などの陶磁器と何が違うか、技術的に確認してみましょう
土を練って形を作り、うわぐすりを掛けない「素焼き(すやき)」のシンプルな「やきもの」が土器です。焼く温度も、現在に比べてかなり低温。その結果が、実用面で考えると、土のざらざら感があって、水を注ぐと吸収しやすく、割れやすい、ということになります。だから、後に水の吸収しない、丈夫な「やきもの」へと発展しているのですから。

 しかし、日本人は、かなり長い期間、土器を使い続けていたようです。縄文土器や弥生土器は多くの人の頭に浮かぶでしょうが、その後は? 実は7世紀頃にはうわぐすりのある陶器が焼かれたらしいですが、ごく一部の世界。鎌倉時代になっても、土器は一般的なやきものでした。実は、そのことは、博物館にいかなくても意外と簡単に確認することができるのです。

 古典文学で言うと、土器は「かは(わ)らけ」と読みます。例えば、伊勢物語には、「女あるじに かはらけ とらせよ。さらずは飲まじ」とあります。この場合は、土器の盃のこと。素焼の茶色で見た目にも脆そうな盃がイメージできますでしょうか? 奈良・平安から鎌倉時代ぐらいまでのドラマで酒宴のシーンをみると、土器の盃を持っていることも。一方、江戸時代の庶民は、白っぽい盃(陶器!)。ちなみに、筆者は歴史ドラマ・時代劇を見るのが大好きで、日本はもちろん、中国・韓国と見まくっていますが、庶民の食事シーンから王族の宴会まで、器を見るのも地味な楽しみです。

 …ちなみに、インドではチャイ(甘いミルクティ)を頼むと素焼き、つまり土器(かはらけ)のチャイカップに出てくるとか。飲み終わったら、その場で砕いてしまう使い捨て。釉薬なんて掛かっていない土を成形して焼いたものなんですから、土に戻るだけ。そして、使い捨てだから衛生的という訳です。…平安の都でも、人々はそうやって飲み物を飲んだのでしょうか。ちょっと妄想してしまいます。

 さて脱線から戻って、再び現在の日本。旅先なら、観光地で谷間に向かって投げて願掛けをするという「かはらけ投げ」をやったことをはありませんか? 「かはらけ」は丈夫ではありませんが、一方で使い捨ての紙コップや紙皿の感覚だったのでしょう。投げても惜しいものではなかっのですから。インドと同じですね。
さらに、全国各地にある愛らしい郷土玩具の土鈴も、はじまりは縄文時代といわれています。

 「土器」が思った以上に身近に、博物館で見る鉢や壺というイメージが薄れてきたのではありませんか?

 …次回は、もう少し具体的に、日本における土器についての話に続きます。



※本記事は2010年秋に初出したものを改稿し、再発表しています。





















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