一楽二萩三唐津

update:2018/02/14

ここでは、なんとなく聞いたことがある、あるいは知っておくと会話が弾む、愛陶家が口にしがちな言葉を集めています。

第1回は「一楽二萩三唐津」。

愛陶家、というより、これは茶道の世界の言葉なのですが。。。
ようするに、茶人が和もの茶碗(国産の抹茶茶碗)の格付けをして使う言葉ですね。

一番は楽焼、次いで萩焼、三番目に唐津焼というわけです。

楽焼は、千利休が、現在も続く京都の名陶「樂家」初代の長次郎とともに生み出した茶碗を作らせたのが始まり。言うまでもなく、利休好みの茶碗なわけですから、茶道の世界で格付け1番も頷けるわけです。ちなみに、現在の当主は15代樂吉左衞門(※註)です。

そして、萩焼。
これも山口に江戸時代から現在も続く名陶があって、いずれも茶陶の家として有名です。すなわち、坂髙麗左衛門、三輪休雪、板倉新兵衛の3家。中でも、近代以降は10代と11代の三輪休雪は人間国宝(無形文化財保持者)となっていて、当代の12代も人気作家です。

最後の唐津焼は、秀吉が茶の湯を盛んに持ち上げていた慶長年間(1596〜1615)に最盛期を迎えたやきもの。ぐい呑や皿などの雑器も焼かれていて、上の二つと違って茶陶専門というわけでもありません。ただし、江戸時代に磁器が焼かれると衰退してしまい、近代になって再び復興しました。しかし、ここにも当時から続く名陶「中里太郎右衛門」家があります。現在は14代です。

ということで、これはあくまで茶の湯の話を、古陶磁好きの人達が使っているわけ。当然のことながら、やきものは人それぞれ好きずきがありますし、現在の古陶磁の評価にこのような格付けはありません。
・・・でも、知っておくと、ちょっと使いたくなる言葉ですよね。
 

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(2023年加筆修正)
 
※註:樂家につきましては、2019年に15代のご長男が16代を襲名し、15代は「直入」と改名されました。(2023年7月加筆)