update:2018/07/11
なんとなく聞いたことがある、あるいは知っておくと会話が弾む、愛陶家が口にしがちな言葉を集める企画の4回目。これまた、愛陶家、華道家、さらには酒好きの中ではよく知られている言葉ですね。
「備前の水甕、水腐らぬ」
これは、古くから言い伝えられている、いわゆる「年寄りの知恵」みたいなもの。ただし、蓋をして暗いところに置くことが条件ですけどね。だから、昔は台所のあった土間などにあったものです。
なぜ水が腐らないか、というと、釉薬(ゆうやく;うわぐすり)をかけず、高温でしっかりと焼き締めることで水が漏れないようになっているのが備前焼のため、外の空気が入っていて、呼吸をしているためとか、厚みのある器でしっかり焼かれているので、外の気温の影響が少ないとか言われています。
実際,備前焼の花器で花を生けると花が長持ちします・・・ただし、きちんと水を替えたり、茎を切ったりする「生け替え」は必要ですよ。特に暑い夏には。
また、戦国時代、利休や織部、そして秀吉も備前焼を好んでいたことは有名で、有名な北野の大茶会では、備前焼の花入や建水が使われたという記述が残っています。
水が傷みにくいということは、酒の保存にも良いということになりますね。ですから、備前焼の入れ物(徳利とか小振りの甕など)に日本酒を入れ、冷蔵庫で保存しておくと、酒がまろやかに、美味しくなると言われています。
実は、ウィスキーや焼酎もいいらしいですよ。
最近では、備前焼の焼酎サーバーも作られていて、人気があります。
・・・それにしても、災害の多い日本。昔の人の知恵に習い、備前焼の水甕を置いておくと、何かの役に立つかもしれませんね。
(2023年加筆修正)