『古田織部の正体』

update:2020/02/28

長く絶版にならずに定番となっているロングセラー、見逃せない新刊、あるいは、残念ながら絶版となっていても、評価が高い古本でも欲しい名著・・・・・・そんな本を紹介していきます。
 
2回目は、本日2月28日は「織部の日」であることにちなんで、古田織部の本。
 
でもまず、本のことを紹介する前に、念のため、「織部の日」についての基本情報を。
古田織部といえば、利休七哲(千利休の高弟7人)の1人で、徳川秀忠の茶の湯指南役であった武将茶人です。
その織部が慶長4年(1599)年2月28日に、自分で焼いた茶碗を用いて茶会を開きました。その茶碗は、“へうげもの(剽げ物)”と評された黒く歪んだ美濃焼の沓形茶碗。これが後の「織部焼」と呼ばれるようになりました。
…実際には、織部はもっと早くから、織部焼を用いていたのかもしれませんが、記録として残されている最初がこの日というわけで、美濃焼の発祥の地である岐阜県土岐市では、この日を「織部の日」に制定したのです。
 
さて、本題。
 
『古田織部の正体』 角川ソフィア文庫(2014年刊)

古田織部の正体 (角川ソフィア文庫)


 
 
本書は、東京国立博物館の工芸課長を務め、現在も日本の陶磁器・茶道史研究の第一人者の1人である矢部良明先生による著。
近年では、『へうげもの』という古田織部を主人公にした漫画がヒットしたこともあって、織部も随分有名になってきたような気もしますが、実は謎の多い人物。本書は、その謎を丁寧にたどっていきます。なかなかの骨太な内容ですので、織部焼の写真集なども眺めながら、じっくりと楽しんでみてはいかがでしょう。
 
…ということで、こちらは合わせてオススメということで。
 
『大織部展 古田織部400年忌』 紫紅社(2017年刊)

大織部展 古田織部400年忌 (展覧会図録)


 
2017年の岐阜県現代陶芸美術館で開催された特別展の図録です。作品写真はもちろん、さまざまな分野の研究者が寄稿しており、さらには織部の年譜、美濃焼年表なども掲載されていて、資料的価値もある図録です。
 
残念ながら、現在はイベント自粛の状況の中、展覧会などはご紹介しづらい情勢。。。
でも、こんな時だからこそ、自宅でじっくり読書にあてる、貴重な時間と考えてみると得した気分になりませんか?
 
(2023年加筆修正)