update:2020/12/11
長く絶版にならずに定番となっているロングセラー、見逃せない新刊、あるいは、残念ながら絶版となっていても、評価が高い古本でも欲しい名著・・・・・・そんな本を紹介していきます。
3回目は、陶芸のみならず、世界史・文化史として読み応えのある名著『陶磁の道』です。
まずは、著者の三上次男先生をご紹介。
考古学者で陶磁貿易研究の分野で名高く、日本学士院会員、東京大学名誉教授、出光美術館理事、中近東文化センター理事長を務めた方です(1987年没)。
陸路のシルクロード「絹の道」に対して、南海路の「陶磁の道」を唱えた人物であり、各地で発掘も行っています。
その本が、本日のテーマ。
『陶磁の道 東西文明の接点をたずねて』
三上次男 著 岩波新書(2002年刊)
初版は昭和44(1969)年発刊で、なんどか復刊されていますが、現在は絶版。
しかし、有名な本なので、比較的古本でも手に入りやすいと思います。
エジプト、トルコ、東南アジア各地、そして中国へと、陶磁の道を、陶片をたよりに語っていく、壮大なロマン。
ちなみに、本書を読んだ後、出光美術館の陶片室にいくと、一層楽しいですよ。すばらしいコレクションです。
これは合わせておすすめします。
http://idemitsu-museum.or.jp/exhibition/establishment/
ついでにといっては大変心苦しいのですが、合わせて読みたい名著として、こちらもご紹介しましょう。
『やきもの文化史 景徳鎮から海のシルクロードへ』
三杉隆敏 著 岩波新書(1989年刊)
三上先生の本から20年後。陶磁器研究者として有名な三杉先生の本。
「海のシルクロード」を提唱した方として知られている方で、三上先生の時代より研究もさらに進んでいます。
続けて読むのにオススメ。
ただし、いずれも美術工芸として、鑑賞対象としての著作ではなく、
文化史、考古学としての読みもの。
でも、実に興味深い本たちです。
(2023年加筆修正)