update:2019/10/04
前項では、中国と日本の伝統の青のやきものを紹介しましたが、今回は西洋とアジアの中間地点であるトルコ、そして、ヨーロッパの青へと続けていきましょう。
◎イズニク陶器
中国の青花は、イスラム圏へも影響を与えましたが、中でもトルコのイズニク諸窯では数多くの藍彩陶器が登場しています。実際、トルコのトプカプ宮殿には、中国の青花もたくさんコレクションされており、それに刺激を受けつつ、トルコらしい繊細な文様が描かれるようになったのです。最盛期である15〜16世紀には、チューリップやカーネーションなどを描いた名品が数多く残されています。
…ちなみに、チューリップの原産地はトルコ。オスマン帝国で人気となり、ヨーロッパに渡ります。
◎マイセンとロイヤルコペンハーゲン
ヨーロッパでも、同じく中国の青花は大人気となり、作られるようになりました。有名なところでは、ドイツのマイセン「ブルーオニオン」シリーズ。18世紀に中国の青花を模倣して、青いタマネギを描いた文様です。実は、中国ではタマネギではなく、おめでたい象徴である柘榴であったというのが定説です。しかし、ヨーロッパでは見慣れぬ石榴より、身近なタマネギのほうが良かったのでしょうね。
デンマークのロイヤルコペンハーゲンも、白磁にブルーの絵付けを施したものが代表的な作品ですね。中でも「ブルーフルーテッド」は、ロイヤルコペンハーゲンの最初のデザインであり、中国を起源とした絵柄と考えられています。しかし、あまりにも有名なこのモチーフは、デンマークを代表するデザインであり、文化的遺産の一部とみなされているそうです。
さて、代表的な「青」のやきものをご紹介しました。
次回は、「緑」を予定しています。
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(2019年初出、2023年加筆修正)