update:2018/03/28
日本にある数々の国宝。
重要文化財は数多いのですが、国宝となると、そんなに多くはありません。まして、茶碗だけなら、8点。
愛陶家なら、全部見ておきたいですよね。十分可能な数です。
しかし、一度にまとめては、まず無理でしょう。私設美術館が所蔵しているものも多く、一度に貸し出されていることは、なかなか考えにくいのが現状です。
一方で、それらの私設美術館は、年間のうち、毎年この時期に公開する・・・というのが、ある程度決まっている場合も多いので、こまめにチェックしていれば、数年のうちに全部見ることが可能ではないかと思います。
・・・がんばりましょう! 国宝の茶碗にはそれだけの価値があります。
簡単にあげておきます。
日本の国宝ですが、茶碗に関しては、日本製の茶碗が2点のみ。あとは中国や朝鮮半島の茶碗、つまり唐物(からもの)になります。古くから大事にされ、高い価値を付けられていたものですから、それも当然のことかもしれませんが、2点だけという現実は、ちょっと寂しいですね。
では、まず挙げるのは、茶碗の最高峰。幻のやきものであり、中国にも現存していない(発見されていない)という「天目茶碗」。中でも、瑠璃色の曜変と呼ばれる景色を見せ、「輝く」を意味する「曜」の字が当てられた「曜変天目」は3碗しかなく、すべて国宝です。
『曜変天目茶碗』中国 南宋時代
藤田美術館蔵
『曜変天目茶碗《稲葉天目》』中国 南宋時代
静嘉堂文庫美術館蔵
『曜変天目茶碗』中国 南宋時代
大徳寺龍光院蔵
曜変天目が瑠璃色に対し、漆黒。さらに、油の滴のような斑の景色を見せているものを「油滴天目」と呼んでいます。国宝に指定されているものは1点のみ。他に重要文化財に指定されているものもあります。
『油滴天目茶碗』中国 南宋時代
大阪市立東洋陶磁美術館蔵
べっ甲のような景色を出しているのが「玳玻天目」。京都国立博物館など、他にも複数点ありますが、国宝に指定されているモノはこれのみ。
『玳玻盞散花文天目茶碗』中国 南宋時代
承天閣美術館蔵(相国寺)
中国から来た天目茶碗が最高峰なら、朝鮮半島で焼かれた「井戸茶碗」も、茶人に愛されたもの。いろいろな銘が付けられ、数多くの名品がありますが、その代表作であり、唯一の国宝となっているのがこれです。
『大井戸茶碗《喜左衛門井戸》』朝鮮 李朝時代
大徳寺孤篷庵蔵
残るは、日本で焼かれた2碗。志野の名品として名高い《卯花墻(うのはながき)》と、かの本阿弥光悦が焼いた楽茶碗《不二山》です。
『志野茶碗《卯花墻》』日本 桃山時代
三井記念美術館蔵
『白楽茶碗《不二山》』日本 江戸時代 本阿弥光悦 作
サンリツ服部美術館蔵
以上です。
いずれも、肉眼で見て、さまざまな角度で見ると、写真ではわからない発見があります。例えば、上から見たら「こんなフォルムなんだ」とか、自分の目で見ると「こんな色なんだ」とか、驚きもあるはずです。けっこう、感動します。ぜひ、実物で。
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(2023年加筆修正)
追記。。。
やきものの名品リストはこちらでまとめています。ぜひ参考に。