update:2019/08/27
井戸茶碗、高麗茶碗は日本における茶の湯の最高峰。
茶の湯の愛好家も、陶磁器の愛好家も、歴史愛好家も、井戸茶碗というと特別な響きがあるのではないかと思います。
関連書もいろいろと発刊されていますが、韓国人研究者のものはあまり数がありません。
そんな中で、気になる本が発刊されます。
趙誠主 著 影書房 刊(2019/8/30)
『井戸茶碗の真実 いま明かされる日韓陶芸史最大のミステリー』
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著者は、韓国で人気の陶芸家さんで、日本でもよく知られている方です。その方が、日本で国宝なったものもある井戸茶碗のナゾに迫った一冊。
発掘調査や、当時の韓国人(朝鮮人)からみた井戸茶碗のことなど、科学的回析と資料の研究、さらに実地調査、陶芸家としての経験を踏まえた書かれた本作は、まさに興味がつきません。
日本でも、多くの研究者が井戸茶碗について書いてきましたし、日本の陶芸家にも朝鮮陶磁に魅せられ、井戸茶碗についての持論を語る方の話も複数伺ったことがあります。
…いずれも、説得力があって、歴史のロマンと残酷さも併せ持ち(秀吉の朝鮮出兵もからんでくるから)、非常に興味深い話ですが、真実は結局のところ分かりません。
だから、さまざまな説を聞きたくなるのですが。
そんな中、当然のことながら、日本のだけではなく、韓国人の説も知るべきと思っていました。しかも、陶芸家の話というのは、研究者と違って、実際の作り手の視点が入ってくるから興味も倍増です。
ちなみに、日本サイドの高麗茶碗の本のうち、読みやすくて分かりやすい本もご紹介しておきます。井戸茶碗だけでなく、高麗茶碗全体を紹介している本で、著者の谷晃さんは、茶の湯文化の研究者で、京都の野村美術館館長です。
谷晃 著 淡交社 刊(2014/2/4)
『わかりやすい 高麗茶碗のはなし』
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ぜひ、手に取ってみてください。