update:2018/06/04
今日取り上げる「新刊」は、実は20年近く前から販売されているロングセラーです。
矢部良明 監修 『増補新装 カラー版 日本やきもの史』
美術出版社
いわば、日本のやきものの歴史をつづった「教科書」ですね。
これほど体系的に、効率良く歴史を解説してくれる本もなかなかありません。
執筆陣も実に豪華です。監修者である矢部良明先生は元・東京国立博物館工芸課長であり、退官した現在も陶磁器研究家・茶道史研究家として著作も数多い方です。さらに、各章にもそれぞれ、陶磁器研究の専門分野の研究家が執筆を担当。出光美術館の主任学芸員を勤め、現在は学習院の教授である荒川正明先生や、新旧の東京国立近代美術館工芸課長を務めた、金子賢治先生(現在は茨城県陶芸美術館館長)と唐澤昌宏先生(現工芸課長)などなど。
各分野の専門家が、初心者に向けてわかりやすく解説してくれています。
だから、ロングセラーだったわけですね。
そのロングセラーがこの度、増補新装しました!
一番の大きな点は、新章の追加。21世紀の現代陶芸が加わりました。
また、既存の章でも加筆修正が施されています。
日本における陶芸の世界は常に新しい作家が登場され、進化をし続けています。
ですから、本もアップデートしていく必要があるのは、愛陶家には当然のことですよね。
もっとも、始めた読む人に対しては、冒頭に書いたように、優れた「教科書」でありますが、一方で「教科書で」すから、なかなか読んでいて楽しい感じにはなりません・・・と一言を加えておく必要もありますかね。
・・・正直言えば、一気読みはオススメできません。
オールカラーですから、ささっと目を通して、気になる箇所だけ読むのもいいし、ちょっとずつ1章から読み進めていくのもいいでしょう。
複数章を一度に読むより、1つの章を読んでは、その時代に関係する陶磁器を別の写真集で見てみたり、ネットで調べて見たりすると、楽しいですよ。
そして、また別の日に次の章。。。
教科書ですから、読書をしようと思わず、ゆっくり、勉強しながら愉しんでください。
陶磁器ファンなら、1冊は持っておきたい教科書。
座右の書的に、いろいろなページを探ってみてください。
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追記。。。
本書は『世界やきもの史』とセットでオススメしたいのですが、こちらはまだ旧版のままで、古本しか手に入らないようですね。
こちらもけっこう必読書。ぜひ、新装版を期待しつつ。。。